精選版 日本国語大辞典 「一座」の意味・読み・例文・類語
いち‐ざ【一座】
〘名〙
② (━する) 同じ座席、場所にすわっていること。同席。同座。
※田氏家集(892頃)中・残春宴集「同情乍会頻回レ首、一座相看共解レ頤」
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)上「一座いたしたいとたくしかくれば」
③ 同じ座席にいる全体の人。満座。
※史記抄(1477)九「言語道断奇特かなとて一坐尽驚たぞ」
④ 多数の人がある目的で一箇所に集まる会合。
(イ) 宴会など座敷で催す会合。一席。
(ロ) ただ一回の修法のこと。一座行法ともいい、ただ一度の修法に、普門あるいは一尊の供養法を修することをいう。
※正法眼蔵(1231‐53)弁道話「多劫の修行をふることなく、一座に五仏の正覚をとなふ」
※梵舜本沙石集(1283)六「説経などもせぬ僧なれども、〈略〉『一座の供養し給ひなんや』と、いはせければ」
※連理秘抄(1349)「一座を張行(ちょうぎょう)せんと思はば、まづ時分を選び」
⑤ 神社の数え方。一社。
※延喜式(927)九「広瀬郡五座 大一座小四座」
⑦ 一つの興行を共に行なっている能役者、歌舞伎役者などの俳優や芸人の一団体。
※風姿花伝(1400‐02頃)六「能に嵩も出で来、垢も落ちて、いよいよ名望も一ざも繁昌する時は」
⑧ 宴会の雰囲気やそのとりもちをいう近世の遊里語。座興。座配。
※浮世草子・好色一代男(1682)七「初而(はじめて)の出合には、なを一座(ザ)をかため」
⑨ 大坂堀江の本茶屋へ出入りする上級女郎を二等級に分けた下等の方の女郎。
※洒落本・浪花色八卦(1757)宝結卦「本茶屋といふ名目ありて、此宿へ徘徊する女郎を上品とし〈略〉上品といへども一座二座のわかちありて」
⑩ 茶屋女への祝儀、花代の数え方。
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