一座(読み)いちざ

精選版 日本国語大辞典「一座」の解説

いち‐ざ【一座】

〘名〙
① (━する) 第一の座席につくこと。また、その座席。かみ座。上席。首席。
※愚管抄(1220)二「摂政左大臣道家。〈略〉同廿六日為藤氏長者。兵仗、勅授、一座、牛車等任例宣下」
② (━する) 同じ座席、場所にすわっていること。同席。同座。
※田氏家集(892頃)中・残春宴集「同情乍会頻回首、一座相看共解頤」
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)上「一座いたしたいとたくしかくれば」
③ 同じ座席にいる全体の人。満座。
※史記抄(1477)九「言語道断奇特かなとて一坐尽驚たぞ」
④ 多数の人がある目的で一箇所に集まる会合。
(イ) 宴会など座敷で催す会合。一席。
※曾我物語(南北朝頃)一「ただ一ざの一興にまけ申て、おもしろし」
(ロ) ただ一回の修法のこと。一座行法ともいい、ただ一度の修法に、普門あるいは一尊の供養法を修することをいう。
※正法眼蔵(1231‐53)弁道話「多劫の修行をふることなく、一座に五仏の正覚をとなふ」
(ハ) 僧侶などの一回の説法や講演。一席。
※梵舜本沙石集(1283)六「説経などもせぬ僧なれども、〈略〉『一座の供養し給ひなんや』と、いはせければ」
(ニ) 会席を設け、数人で連歌、俳諧を興行すること。また、そこでできあがった作品。
※連理秘抄(1349)「一座を張行(ちょうぎょう)せんと思はば、まづ時分を選び」
⑤ 神社の数え方。一社。
※延喜式(927)九「広瀬郡五座 大一座小四座」
⑥ 仏像などの一体。一基。
⑦ 一つの興行を共に行なっている能役者、歌舞伎役者などの俳優や芸人の一団体。
※風姿花伝(1400‐02頃)六「能に嵩も出で来、垢も落ちて、いよいよ名望も一ざも繁昌する時は」
⑧ 宴会の雰囲気やそのとりもちをいう近世の遊里語。座興。座配。
※浮世草子・好色一代男(1682)七「初而(はじめて)の出合には、なを一座(ザ)をかため」
⑨ 大坂堀江の本茶屋へ出入りする上級女郎を二等級に分けた下等の方の女郎。
※洒落本・浪花色八卦(1757)宝結卦「本茶屋といふ名目ありて、此宿へ徘徊する女郎を上品とし〈略〉上品といへども一座二座のわかちありて」
⑩ 茶屋女への祝儀、花代の数え方。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「一座」の解説

いち‐ざ【一座】

[名](スル)
同じ席・場所に座ること。また、それらの人。同席。「祝いの宴に一座する」
同席の者全部。満座。「一座の爆笑を買う」
芸能・歌舞伎など興行者の一団体。「一座の花形」
説法・講演などの一席。「一座の法養」
連歌・俳諧を行う集まりの一席。また、その席で詠んだ作品一巻(ひとまき)。
神社の、一社。
仏像などの、一体。「阿弥陀一座
第一の上席。最上の席。首席。また、その席に着くこと。
「―より次第に鉢を飛ばせて、物を受く」〈宇治拾遺・一三〉

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