衽(漢字)

普及版 字通 「衽(漢字)」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音] ジン
[字訓] えり・すそ・おくみ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は壬(じん)。壬にふくらむ意がある。〔説文〕八上に「衣の(えり)なり」とあり、衿は襟、衽はおくみをいう。左衽は東夷の俗。中国では死者の礼。〔儀礼、士喪礼〕「衽を奧に(すす)む」、〔中庸、十〕「金革を衽(しとね)とす」のように、衽席の意にも用いる。仁の古い字形は、人の後ろに衽席をおく形で、安舒原義とする字である。〔荘子、達生〕に「人の最も畏るるは、衽席の上、飮なり」とみえる。

[訓義]
1. えり、すそ、おくみ。
2. も、はかま。
3. たもと、そで。
4. しとね、ねむしろ。
5. くさび代りのひも、両端を広くしたひも。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕衽 宇波加比(うはかひ) 〔和名抄〕袵 於保久比(おほくび) 〔字鏡〕衽 コロモノクビ・モノノヲ・ホヒ・モ・オホクビ・ヒモ・ウハカヒ

[語系]
衽・任・妊・恁njimは同声。みなふくよかで安舒の意をもつ語である。

[熟語]
衽褐衽左衽裳・衽席衽髪衽服
[下接語]
臥衽・懐衽・衾衽・交衽・左衽・接衽・続衽・連衽・斂衽

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android