Ménière病

内科学 第10版 「Ménière病」の解説

Ménière病(めまい)

(1)Ménière病
 数十分~数時間持続する発作性回転性めまいに伴い耳鳴り,難聴,耳閉塞感,悪心・嘔吐などが消長する.間欠期は正常に復するが,発作を繰り返すうちに耳鳴り,難聴,浮遊感が常在化する.発作時には低音性感音性難聴,患側に向かう水平性・回転性混合の自発眼振を呈し,快方に向かうと眼振は健側方向に変わる.発作の一連は数日で治まるが,数日から数年の間欠期を経て再発する.精神的,身体的ストレスが誘因となる.発症機序は原因不明のリンパ液過剰分泌や吸収障害による内リンパ水腫と考えられ,高張液の静脈点滴(グリセロール試験)で改善する.確定診断は診断基準,純音聴力検査,カロリックテスト,SISIテストで行い,画像検査は腫瘍などの除外に有用である.治療は,急性期には抗浮腫薬(副腎皮質ステロイド,高張液点滴,利尿薬炭酸水素ナトリウムなど),悪心・嘔吐に対し制吐薬,不安があれば抗不安薬を用い,間欠期や慢性期には利尿薬が有効である.高度難聴,高頻度の発作でADLが障害される場合は前庭神経切断術を考慮する.[山本纊子]
■文献
Brandt T: Vertigo―Its Multisensory Syndrome, Springer-Verlag, London, 1991.
Epley JM: The canalith repositioning procedure: Fortreatment of benign paroxysmal positional vertigo. Otplaryngol Head Neck Surg, 107: 399-404,1992.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報