炭酸水素ナトリウム(読み)たんさんすいそなとりうむ(英語表記)sodium hydrogen carbonate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭酸水素ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸水素ナトリウム
たんさんすいそなとりうむ
sodium hydrogen carbonate

炭酸の一水素ナトリウム塩。化学式NaHCO3式量84.0。酸性炭酸ナトリウムともいう。Na1モル当りの発生CO2が正塩である炭酸ナトリウムの2倍なので、俗に重炭酸ナトリウム重炭酸ソーダ重曹などともいうが正しい名称ではない。炭酸ナトリウムの飽和水溶液に二酸化炭素を吸収させると沈殿となって析出する。工業的にはアンモニアソーダ法による生成物を温水から再結晶して製造する。無色単斜晶系粉末加熱により270℃以上では分解して炭酸ナトリウムとなる。

 2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
 15℃の水100グラムに8.8グラム溶けるがアルコールには溶けない。水溶液は加水分解のため弱アルカリ性を示す。

 ナトリウム塩の製造原料や、二酸化炭素を放出する性質を利用してベーキングパウダー、洗浄剤などに用いられる。また内服薬として制酸剤、アルカリ剤などに用いられる。

[鳥居泰男]


炭酸水素ナトリウム(データノート)
たんさんすいそなとりうむでーたのーと

炭酸水素ナトリウム
  NaHCO3
 式量  84.0
 融点  ―
 沸点  ―
 比重  2.20
 結晶系 単斜
 屈折率 (n) 1.526
 溶解度 6.9g/100g(水0℃)
     16.4g/100g(水60℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭酸水素ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸水素ナトリウム
たんさんすいそナトリウム
sodium hydrogen carbonate

化学式 NaHCO3 。重曹,重炭酸ソーダ,重炭酸ナトリウムとも俗称される。無色透明の結晶あるいは白色塊状または粉末状物質。熱すると約 300℃以上で分解し,炭酸ナトリウムに変る。水に可溶,アルコールに難溶。水溶液は微アルカリ性を呈する。アンモニアソーダ法で炭酸ナトリウムを製造するときの中間体として重要である。

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