VJ圧縮

ASCII.jpデジタル用語辞典 「VJ圧縮」の解説

VJ圧縮

SLIPPPPのようなシリアルラインを使ったTCP/IP接続において、TCP/IPヘッダーを圧縮して転送効率を向上させるための機能。そのためVJヘッダー圧縮と呼ばれることもある。SLIPやPPPにおけるオプション機能であり、プロトコルスタックインプリメントによっては使えないことがある。TCP/IPプロトコルでは、送受信パケットの先頭にIPやTCPのヘッダーがあり、その後にデータ部が続いている。標準的なTCP/IP通信ではこのヘッダー部の長さは、IPヘッダーが20bytes、TCPヘッダーが20bytesで、合計40bytesとなっている。たとえばTCP/IP上でTelnetプログラムを使うと、ユーザーが入力した1文字(1bytes)がホストコンピューターに送られ、さらにそれがエコーバックされて(1bytesが)返ってくる。このときの通信量は、送信が41bytes、受信が41bytesで計82bytes分のトラフィックが生じる(SLIPの場合。PPPではさらに下位プロトコル層でヘッダーとトレイラが付加される)。つまり、2bytesのデータ通信のために80bytesものオーバヘッドが生じている。このオーバヘッドを極力避けるために考案されたのがVJヘッダー圧縮の技法である(VJは開発者の名前)。RFC1144で規格化されている。ある1つのTCP/IPコネクションに注目すると、連続するTCP/IPパケットのヘッダーのうちで、実際に内容が変わっている部分はそう多くはなく、さらにTCPの(32ビットの)シーケンス番号やアクノレッジ番号も単純にデータ量に応じて増加しているだけである。また冗長フィールドもあるので、これらの特性を考慮すると、ヘッダーを圧縮することが可能となる。VJ圧縮アルゴリズムでは、ヘッダーデータ内の各フィールドに変更があったかどうかを表わす差分フラグ情報を送信する、変更のあったヘッダーデータのみを送信する、シーケンス番号/アクノレッジ番号は増分を計算して送信する、などの技法を使い、40bytesのヘッダーを最大で3bytesにまで圧縮できる。

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