日本大百科全書(ニッポニカ) 「PPP」の意味・わかりやすい解説
PPP(通信)
ぴーぴーぴー
離れた場所にあるコンピュータどうしを電話回線を使って接続し、情報のやりとりを行うための通信の規約。ポイント・トゥ・ポイント・プロトコルpoint-to-point protocolの略称。1992年に最初の仕様が策定された後、1994年にIETFによってRFC1661として標準化された仕様が広く使われている。コンピュータとプロバイダのサーバを接続し、インターネットにつなぐ際に利用される。
PPPは接続方法の違いからおもに2種類のプロトコルが使われている。
(1)ダイヤルアップPPP 電話やISDNなどの公衆回線を利用するために発信や着信ができる機能を追加したプロトコル。インターネットを利用したいときだけプロバイダに発信して接続し、使い終わると切断する。
(2)PPPoE(ピーピーピーオーイー)(PPP over Ethernet) 光ファイバーやADSLなどのデータ通信専用の回線が使用されている際の接続で、PPPを常時接続に対応させたプロトコル。PPPoEはイーサネットでPPPの機能を利用できるようにしたもので、MAC(マック)アドレス(イーサネット用のネットワークカード固有のID番号)を使用してネットワーク上の機器を識別し、データをやりとりする。LAN(ラン)につながれたコンピュータからインターネットへ接続する場合に認証による機器の識別や、グローバルIPアドレスを割り当てるなど、安定した接続が可能となる。
[編集部]
PPP(public private partnership)
ぴーぴーぴー
行政と民間が協力して公共サービスを効率的に運営すること。官民パートナーシップ、官民連携ともよばれる。public private partnershipパブリック・プライベート・パートナーシップの略称。1990年代にイギリスで始まった民間資金を活用した社会資本整備(PFI=Private Finance Initiative)を発展させた概念。PFIは行政が計画をつくったうえで実施する民間企業を募集するのに対し、PPPは企画・計画段階から民間企業が加わり、民間の独自ノウハウで、より効率的な運営を目ざす。厳しい財政状況のなかで民間資金の活用を拡大するねらいもある。
国際的な行政効率化の流れに沿い、ヨーロッパ諸国やオーストラリア、韓国などが病院、刑務所、水道、鉄道事業などに積極的にPPP方式を取り入れている。日本では2003年(平成15)のPFI法改正で民間委託できる事業範囲が広がり、PPPが普及した。民主党政権が2010年6月に閣議決定した新成長戦略では、21の国家プロジェクトの一つとしてPPP方式による社会インフラの整備を打ち出した。
官と民が共同で事業にあたる方式としては、官民共同出資で運営主体をつくる第三セクター方式があるが、官民の責任分担がはっきりせず、かえって税金のむだ使いになる例が多かった。PFIやPPP方式は事前にリスク分担も決めておくため、官民のもたれあいが起きにくいとされる。なお海外では、PFIのほか市場化テスト(官と民が同じ条件で競争入札すること)、民間委託などを包括した概念としてPPPが使われることがある。
[編集部]