世界大百科事典(旧版)内のaisthēsisの言及
【美】より
… 美学は,美といわれるものがいずれも感性を刺激してはじめて独自の精神的な快を成立させていることに注目し,新たに〈美的なるものdas Ästhetische〉という概念を樹立した。形容詞ästhetisch(美的)とは感覚,感性,感覚的知覚をあらわすギリシア語アイステシスaisthēsisに由来する語で,だれしも具有せる感性と精神とを同時に触発する価値をとらえる語としてよい。一瞬きらめいてたちまち消えてゆくはかなさも美の特性であり,ここから美は私のあずかり知らぬところという態度も生じようが,ästhetischの意味での美ならば,上記の規定からこれは人間の必ずかかわらざるをえぬ価値である。…
【理性】より
…他方,intelligenceは明治・大正期以来〈叡智〉〈叡知〉の訳語があり,大正期には超自然界・叡知界の認識能力としてのラテン語intelligentiaが〈叡知〉と訳された。 アリストテレスは〈感覚aisthēsis〉に対して人間固有の思考力を〈理性nous〉と呼び,直覚的に原理・始元を洞察する〈直覚知noēsis〉と,分析的に判別し抽象する〈分別知dianoia〉とを含むとした。中世のトマス・アクイナスは理性を〈知性intellectus〉または〈論証的理性ratio〉と呼び,双方は等義に用いられることもあるが,前者は諸原理の直覚知と超自然界の認識能力である〈叡知intelligentia〉をも含み,この点でアリストテレスの〈直覚知〉の系統を引く。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」