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実践理性 じっせんりせいpraktische Vernunft

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

実践理性
じっせんりせい
praktische Vernunft

カントの哲学用語として一般に知られるが,この言葉の歴史は古い。ギリシア語 phronēsis (→フロネシス ) に由来し,プラトンでは nous (→ヌース ) ,noēsis (→ノエシス・ノエセオス ) としての知的直観の能力と区別され,アリストテレスでは epistēmēが理論的認識能力としてほかの仕方ではありえないものであるのに対し,phronēsisと technēは実践的能力としてのほかの仕方でもありうるものとされ,phronēsisは道徳的実践の能力 praxis,technēは制作の能力 poiēsis (→ポイエシス ) であるとされた。カントでは理論理性に対する語として実践理性の優位が説かれた。すなわち (1) 霊魂の不滅,(2) 自由,(3) 神の存在の問題の理論的解決は不可能であるとされ,これらの問題は理性の実践的使用によってのみ解決されるとされた。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

じっせん‐りせい【実践理性】

《〈ドイツpraktische Vernunftカント哲学で、自律性をもち、経験的動機に依存せず、先天的道徳法則によって意志を規定する理性。⇔理論理性。→純粋理性

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

実践理性【じっせんりせい】

カントの用語で,praktische Vernunftの訳。《実践理性批判》(1788年)の中で展開され,理論理性に対して使われる。道徳的行為にあっては,もっぱら理性が自身に与える法則によって意志の形式を規定するから,純粋意志,理性的意志こそは実践理性であって,理論理性の及ばない自由,霊魂不滅,神の存在の必然性を要請するゆえに,これに優ると説く。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

じっせんりせい【実践理性】

カントの用語。理論理性に対して、人間の行為・意志の決定にかかわる理性。経験的動機に依存しない先天性と自律性をもった純粋で理性的な善意志。叡智界に参入する人間の能力とされる。 → 純粋理性

出典|三省堂
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世界大百科事典内の実践理性の言及

【実践】より

…これに対してカントは,科学的な自然認識の成立根拠に超越的な人間理性をおき,それとの関係で感性とつながった悟性的認識と純粋な理性的認識を区別して,理論を2種に区分けするとともに,実践をも,感性的・経験的動機に規定されたプラグマティッシュ(実際的,有用的)な実践と,理性の法則に従うモラーリッシュ(道徳的,精神的)な実践とに区別して,後者すなわち倫理的実践(行為)をすぐれた意味での実践と考えた。そしてこの実践を規定する理性を〈実践理性〉と呼び,認識における〈理論理性〉が人間の自由や霊魂の不滅,神の存在を理論的には証明しえないのに対して,実践的にはそれらの存在が必然的に要請されるから,実践理性は理論理性に優位するとした。こうして,倫理的実践によって人間の自由が〈人間性〉の完成として実現する〈理性の王国〉が,人間の実践の目的とされたが,それは歴史的実践(進歩)によって遠い未来に到達されるはずのものであった。…

※「実践理性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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