内科学 第10版 の解説
Chédiak-Higashi症候群(好中球機能異常症)
顆粒を有する多くの細胞(好中球,T細胞,メラニン細胞など)に巨大顆粒が存在する.部分的な眼と皮膚の白子症,進行性の神経障害(運動および知覚障害,運動失調,知的障害,痙攣など),好中球減少,出血傾向,易感染性がみられる.常染色体劣性遺伝を示す.ライソゾームの輸送制御蛋白質であるCHS1/LYSTに異常があり,好中球の走化性,脱顆粒および殺菌能が障害されている.好中球にみられる巨大顆粒はアズール顆粒と特殊顆粒が癒合したものである.感染症に対する治療が基本である.80%以上の患者に増悪期がみられる.増悪期には発熱,肝脾腫,リンパ節腫脹,汎血球減少がみられ,すべての臓器にリンパ球と組織球の著しい浸潤がみられる.この病態はナチュラルキラー活性低下により生じたEpstein-Barrウイルス関連血球貪食症候群と考えられる.増悪期になると予後はきわめて不良であり,最も有効な治療法は造血幹細胞移植である.しかし,造血幹細胞移植を行っても進行性の神経障害を防ぐことはできない.[北川誠一]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報