化学辞典 第2版 「L-リシン」の解説
L-リシン
リシン
L-lysine
(S)-2,6-diaminohexanoic acid.C6H14N2O2(146.19).H2N(CH2)4CH(NH2)COOH.略号LysまたはK.塩基性の必須アミノ酸.タンパク質の構成アミノ酸として,また植物の幼芽などには遊離の形で広く存在している.ゼラチン,カゼイン,血餅などの加水分解物からイオン交換法や沈殿法(ピクリン酸塩やε-ベンジリデン銅塩として)により分離される.γ-クロロブチロニトリルからのマロン酸エステル法,ε-カプロラクタムのハロゲン化,アミノ化法によりDL-リシンを合成し,酵素法で光学分割することもできる.グラム陽性球菌Micrococcus glutamicusを用いる糖類からの発酵法により,約30% の収率で得られる.針状(水),あるいは六角板状晶(希エタノール).分解点224.5 ℃.+14.6°(水).pKa1 2.18,pKa2 8.95,pKa3 10.53.水に易溶,エタノールに難溶,エーテル,クロロホルムに不溶.塩基性で空気中の二酸化炭素とも塩をつくる.アスパラギン酸あるいは2-オキソグルタル酸から生合成され,サッカロピンついでアミノアジピン酸を経由して,最終的にはアセトアセチルCoAに代謝される.[CAS 6899-06-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報