世界大百科事典(旧版)内のmahāmudrāの言及
【密教】より
…《金剛頂経》はシンボリスティックに表現された仏の世界を人間の世界の外側に実在的に措定し,〈象徴されるものと象徴それ自体は同一である〉というその瑜伽(ヨーガ。神秘的合一)の論理に基づいて,三密加持,すなわち,自己の身体的動作によって諸尊の動作を模し(羯摩(かつま)印),口にそれらの真言を誦し(法印),意にそれらを象徴する形象(三昧耶形(さんまやぎよう))を観想し(三昧耶印),かくて自己を実在界(仏の世界)の一個の象徴(大印,マハームドラーmahāmudrā)と化することによって即身成仏をはかるもので,純然たる密教を実現している。 タントラ仏教はかの世界の女性原理を般若波羅蜜(仏母,すなわち悟りを生む智恵)として認識し,それを生身の女性(大印)と同置し,それと性的に瑜伽(合一)することによって中性的真実在の現成(悟り)を期するもので,通常は左道密教として嫌悪されるが,その本質はインド的精神性の原点への復帰現象とみなしうる面をもつ。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」