世界大百科事典(旧版)内のorganumの言及
【音楽】より
…中部フランスのリモージュ近郊にある聖マルシアル修道院は,1150年ころ,なかでも特に重要な中心であった(聖マルシアル楽派)。そのポリフォニーはオルガヌムorganumと呼ばれ,下声に長く引き伸ばされたグレゴリオ聖歌を置き,その上に自由なリズムで細かく動く上声を配した2声の楽曲であった。12世紀末からポリフォニーの中心地は北に移動し,13世紀末までパリのノートル・ダム大聖堂が特に重要な位置を占めた(ノートル・ダム楽派,パリ楽派)。…
【楽器】より
… 我々がふつうに使う〈楽器〉の概念は,ヨーロッパ系言語の〈インストルメント〉または〈オルガノン〉に相当する。前者は道具を意味するラテン語instrumentum,後者は器官を意味するギリシア語organon,ラテン語organumに,それぞれ由来する。 ヨーロッパではルネサンス以後,音楽を人間の声による声楽と楽器による器楽とに大別してきた。…
【機械】より
…初期のオルガンは水圧を利用して風を送るものが多かったが,風車でピストンを動かす送風機つきのオルガンの考案もあった。西洋中世ではオルガンがひじょうに発達したのでオルガヌムorganumというラテン語が〈機械〉を表す語になったほどである。メカネのもう一つの意味は武器であって,それも弩と投石器である。…
【キリスト教音楽】より
…パリのノートル・ダム大聖堂の礎石は1163年にすえられたが,祭壇と内陣の部分がまず完成した12世紀末,ここにレオナンLéonin(レオニヌスLeoninus)とペロタンPérotin(ペロティヌスPerotinus)という2人の巨匠が姿を現す。彼らはグレゴリオ聖歌を基礎として,1~3声部の対位旋律をそれに重ね合わせるオルガヌムorganumと呼ばれる初期のポリフォニーの形式を確立した。その響きは,禁欲的な祈りの歌であったグレゴリオ聖歌に比べれば,はるかに華麗であり,ステンド・グラスの光彩を思わせる。…
【ポリフォニー】より
… ヨーロッパではポリフォニーの歴史は宗教的声楽曲とともに始まる。その起源は定かではないが,現存最古の例は,9世紀末の理論書《ムシカ・エンキリアディス(音楽の手引き)》にみられるオルガヌムorganum(ラテン語)である。最初期のオルガヌムは,定旋律声部と付加声部の2声が平行進行するものが主体で,声部の独立性はまだ希薄であった。…
【モテット】より
…時代的に大きく分ければ,後期ゴシックまでの中世のモテット,ルネサンス時代の合唱ポリフォニー様式のモテット,種々の作風をあわせもつバロック時代のモテット,18世紀後半以降ロマン派から現代に至るモテットに区分できよう。 中世のモテットは,オルガヌムorganum(ラテン語)と呼ばれる初期のポリフォニーの形態を母体として興った。オルガヌムとはグレゴリオ聖歌の旋律に対して別の旋律を付け加える作曲技法を総称し,9世紀半ばころに始まった最初の形はなお稚拙であった。…
※「organum」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」