日本大百科全書(ニッポニカ) 「学問の進歩」の意味・わかりやすい解説
学問の進歩
がくもんのしんぽ
The Advancement of Learning
イギリスの哲学者F・ベーコンの著作。1605年刊行。この作品は、吟味された経験に基づく新しい方法によって知の体系全体を革新しようとするベーコンの壮大な構想の一部分にあたる。全2巻のうち第1巻では、宗教から国の統治に至る人間生活ほとんどすべての領域で知識や学問が多大の貢献をすることを示して、学問の尊厳と価値を強調する。また第2巻では、人類が現在所有している知的財産が人間の知的能力の種類に応じて、歴史、詩、哲学へと分類され、そのおのおのの現状が批判的に検討され、さらに将来の課題と展望が指摘される。この作品は17世紀ヨーロッパの知的革命のなかで生まれ、またその方向づけに重要な影響を与えた。
[塚田富治]
『服部英次郎・多田英次訳『学問の進歩』(岩波文庫)』