内科学 第10版 「Refsum病」の解説
Refsum病(代謝性ポリニューロパチー)
1946年,Sigvald Refsumにより疾患概念が確立された常染色体劣性の遺伝性疾患である.夜盲,網膜色素変性症(眼底所見はsalt-and-pepper appearance),進行性視野狭窄,難聴,無嗅覚症,下肢筋萎縮,知覚障害,晩期に顕在化する小脳性失調症,中手骨や中足骨の短縮,魚鱗癬様皮膚症状などを主症状とする.ポリニューロパチーは10歳代から生じ,知覚神経は深部知覚優位に障害を受ける.髄液蛋白は増加し,神経伝導速度は著明に低下する.原因は,食物由来の長鎖脂肪酸である3,7,11,15-tetramethylhexadecanoic acid(phytanic avid:フィタン酸)がα酸化を受ける際にまずphytanoyl-CoAとなりペルオキシゾーム内で水酸化されるが,この水酸化酵素の遺伝子変異により,フィタン酸が異常蓄積して生じることが判明している.治療はフィタン酸の摂取制限であり,眼症状や聴力障害以外の症状の改善が期待できる.わが国ではまだ報告例がない.[芳川浩男]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報