飲み物がわかる辞典 「原産地呼称」の解説
げんさんちこしょう【原産地呼称】
特定の地域や指定区域の地理的環境や風土に由来するすぐれた特質を有する産品に、これを指し示すため表示するその地域や特定区域の呼称で、原料の種類・品種や産地、栽培・飼育に関わる条件、製法等の要件が法で規定され、これを国が保証するもの。主としてヨーロッパのワインやブランデー、乳製品、農産物などについて規定されている。フランスのAOC、イタリアのDOC、スペインのDOなど。EUは、2006年に農産物および食品について、2008年にワインについて、表示制度を規定し、特定の産地を表示する「地理的表示」にAOPとIGPという二つのカテゴリーを設け、これらと「地理的表示」のないものという区分を用いることを定めた。IGPよりもAOPのほうが、表示される産地とのより強い結びつきを要し、生産に関わる条件の規定も厳格になっている。ただし、各国の伝統的表現、AOPに相当する原産地呼称であるAOC、DOC、DOなどやIGPに相当する各国の表現の表示があれば、このEU共通の表示を省略できるため、これらの規定の施行後はEUの規定による原産地呼称と各国の伝統的表現による原産地呼称が混在している。