錦織(読み)にしごり

精選版 日本国語大辞典 「錦織」の意味・読み・例文・類語

にし‐ごり【錦織・錦部】

  1. ( 「にしきおり(錦織)」の変化した語。「にしこり」とも )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 令制前の品部の一つ。錦綾の機織の技術で大王に貢献した、中国系の渡来人の集団。河内・近江など各地に錦部(にしごり)の地名がある。令制では一応品部は解体されたが、大蔵省織部司に「錦綾織百十戸」が品部の遺制として属していた。
      1. [初出の実例]「東(やまと)の漢(あや)の直掬(ひえつか)に命せて、新(いまき)の漢の陶部(すゑつくりへ)高貴、〈略〉錦部(ニシコリ)定安那錦、訳語(をさ)卯安那等を以て上つ桃原、下つ桃原、真神の原の三所に遷し居(はへ)らしむ」(出典:日本書紀(720)雄略七年是歳(前田本訓))
    2. にしきの織物。また、それを織る人。
      1. [初出の実例]「我領は織らぬ錦織伊達信夫(だてしのぶ)」(出典:俳諧・千代見草(1692))
  3. [ 2 ] 大阪府の南東部にあった郡。明治二九年(一八九六)南河内郡に統合され消滅。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の錦織の言及

【八百津[町]】より

…南部を西流する木曾川の低地と,木曾山脈に連なる標高500m前後の山地から成る。中心集落黒瀬は中世末期以来木曾川最奥の河港として栄え,その対岸の錦織(にしこおり)には近世初期に綱場が設置され,上流からの木曾材がここでいかだに組まれて川下げされた。明治中期以降舟運は衰え,大正期には製糸業が栄えた。…

※「錦織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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