シロアリ(白蟻)(読み)シロアリ

百科事典マイペディア 「シロアリ(白蟻)」の意味・わかりやすい解説

シロアリ(白蟻)【シロアリ】

シロアリ目(等翅(とうし)目とも)に属する昆虫総称。社会生活を営むのでアリ類と混同されやすいが,完全変態をするアリ類とは異なり不完全変態をし,分類上はゴキブリ類に近い。全世界に2200余種あり,熱帯亜熱帯に種類が多い。家屋を食害する著名な害虫も含まれるが,自然の生態系では植物遺体の分解者としてきわめて重要な役割をもつ。体は軟弱で,乳白色または薄茶色。体長5〜10mmのものが多い。一定の季節に有翅虫(羽アリ)が現れる点でアリの社会に似ているが,有翅虫の雌雄(女王,王)1対で適所に営巣する点はアリと異なる。女王は卵巣が肥大し,種類によっては数十年間も生存する。兵アリ,働きアリともに雌雄両性がある点もアリと異なるが,生殖能力のない点はアリと同様である。植物のセルロースを腸内に共生する原生動物トリコニンファの分泌する酵素で分解して栄養とする。木材内に直接巣を作るヤマトシロアリ型と,土中に営巣し,そこから地上の塔や木材に坑道で連絡するイエシロアリ型とがある。熱帯には生きた植物を食べる種類も少なくなく,大きなアリの塔を作るものも知られる。

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