タクシン
タイの政治家。客家系の華人であり，チエンマイの名家チナワット家の出身。元警察官僚および実業家。1994年パランタム党に入党，1998年タイ愛国党を創設。2001年２月，タイ第31代首相に就任。2006年，一族経営企業の売却益をめぐる疑惑から国民の反発を招き，９月クーデターにより事実上ロンドンに亡命した。2007年12月，愛国党の流れを汲む〈国民の力〉党が下院選挙で圧勝したが，2008年に憲法裁判所から解党命令を出され，同党に替わってタイ貢献党が設立された。アシピットの民主党を中心とした反タクシン派の野党の連立でタイ貢献党は野党に転落したが，2011年７月の下院選挙で，タクシンの妹のインラック・チナワットを首相候補として過半数を獲得，インラックが首相に就任した。タクシンは妹への政治的関与を否定し，タイに帰国していないが，その政治的影響力は依然として大きいと見られる。2013年11月タイ貢献党はタクシンを対象に含む恩赦法案を下院で強行採決し賛成多数で可決したが上院は否決，法案は下院に自動的に返付され下院で再可決されれば成立する。インラック首相は恩赦法案を廃案とすると発表したが，これを機に野党民主党を中心に反タクシン派は大規模な反政府デモを敢行しタイの政情は一気に不安定化し混乱は続いている。なおタクシンは英プレミアリーグ，マンチェスター・シティFC会長でもある。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
