ヤノアマ族(読み)ヤノアマぞく(英語表記)Yanoama; Yanomami

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤノアマ族」の意味・わかりやすい解説

ヤノアマ族
ヤノアマぞく
Yanoama; Yanomami

ベネズエラ南部およびブラジル北部国境地域のオリノコ川上流域に居住し,ヤノアマ語を話す民族の総称。人口はブラジル領に約 8000,ベネズエラ領に約1万。ヤノアマ語はほかの諸語族と近縁関係をもたない独立語と考えられる。多くの地域集団を含み,それぞれが自称 (サネマヤノマミなど) ,他称 (シリアナ,ワイカ,シャマタリなど) をもつため,民族誌や探検記の記述には混乱がみられる。男性は狩猟,女性は焼畑農耕をおもに行い,バナナ,マニオク (キャッサバ) を主作物とする。村落テリと呼ばれ,底を抜いた茶碗をふせた形の木造大型住居に全員が住む。テリは政治的・経済的に自律的な単位であり,ブラジルでは,国立公園の中に指定居留地が定められ自治が行われている。中央部および南部の地域では,しばしばテリ間の戦争が報告されており,村人の事故や死はほかのテリのシャーマンによる攻撃とみなされ,その復讐として戦いが起る。シャーマンは幻覚剤を飲んで霊の世界と交信し,その力によって病を起したり治療したりできるとされる。

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