啄評(読み)たくひょう

改訂新版 世界大百科事典 「啄評」の意味・わかりやすい解説

啄評 (たくひょう)

朝鮮の6~7世紀の新羅王畿内の行政単位。喙評(中国),㖨評(日本)とも書く。《梁書》新羅伝に〈新羅の邑落は,畿内にあるものを啄評,畿外にあるものを邑勒(ゆうろく)という。中国の郡県にあたるもので,新羅には六啄評と五二邑勒がある〉とある。この六啄評を新羅王畿(王都周辺の慶州貴族が基盤とする地域)の六村・六部に比定する説,啄と幢(軍隊軍団)とを音通するものとして,王畿の六停(六つの軍営所在の県)に比定する説との両説がある。六部と六停とは性格の異なるものとみられていたが,両者は同じく畿内の行政区域で,啄評は6世紀以降三国対立の激化によって,軍営設置の単位になるなど,軍政化したものと推測される。6世紀後半設置の法幢軍団内の百官幢,雲梯幢,衝幢,石投幢など畿内を基盤とした部隊の司令官である法幢主の数は6の倍数であり,畿外を基盤とする外余甲幢の法幢主は52人で,《梁書》の記述と一致する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android