弓錐(読み)ゆみきり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弓錐」の意味・わかりやすい解説

弓錐
ゆみきり

弓を利用して穴をあける装置原始時代に考案されたもので、人間のつくった道具でもっとも古いものの一つである。弓の弦を錐の柄に巻き付け、弓を左右に動かすことにより錐を往復回転させ、穴をあけるようになっている。同じ装置が穴をあけるためではなく、火をつくりだすものにも使われた。木の棒に弓の弦を巻き付け、回転する棒の先を木片に当て、摩擦によって生ずる熱により発火させるものであるが、現在は神事などにしか使用されていない。

[中山秀太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の弓錐の言及

【錐】より

…左右両方向に交互に回すもの,1方向のみに回すもの,突き引く動作を反復するものの3種類がある。両方向回転の錐では,古代エジプト,ローマ,現代の中国,インド,西アジア,北アメリカ北部(エスキモー)におけるように弓錐(ボウ・ドリル)が一般的で,日本のように素手で回す舞錐は世界的にも珍しい。1方向回転の錐はヨーロッパで中世に登場した。…

※「弓錐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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