瘡神(読み)かさがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「瘡神」の意味・わかりやすい解説

瘡神
かさがみ

「かさ」とはできものまたは梅毒のこと。この病はなかなか治癒しがたいので、これを治すために祈願する神をいう。とくに疱瘡(ほうそう)神に対する信仰は各地にみられた。福岡県八女(やめ)市星野村(ほしのむら)に、イエドウサマという瘡神が祀(まつ)られている。瘡のできた子を捨て神として祀ったという。村民は瘡の治癒に効験あるとして祈願している。神奈川県中郡岡崎村(現平塚市)に瘡神があり、それに祈った願(がん)ほどきに石棒をつくって納めるという。瘡についてはいろいろの伝説がある。有名なのは小野小町で、小町が夢のお告げ因幡(いなば)の湯薬師(ゆやくし)の名水に浴して瘡を治したと伝えられている。

[大藤時彦]

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