精選版 日本国語大辞典「小町」の解説
こまち【小町】
[1]
[一] ⇒おののこまち(小野小町)
[二] 謡曲「卒都婆小町(そとばこまち)」の古名。〔三道(1423)〕
[三] 謡曲「関寺小町」の古名。〔音曲声出口伝(1419)〕
[2] 〘名〙
① (小野小町が美人であったというところから) きわめて美しい娘。美人。美女。小町娘。ふつう、その時代やその土地の名の下に付けて、それを代表する美人とする。「天明小町」「日本橋小町」など。〔歌謡・伊勢音頭二見真砂(歌謡集成本)(19C前)〕
※安井夫人(1914)〈森鴎外〉「近所の若い男達は怪訝すると共に嫉んだ。そして口々に『岡の小町が猿の処へ往く』と噂した」
② 「こまちもの(小町物)」の略。
④ 「こまちざくら(小町桜)」の略。
※雑俳・柳多留‐六二(1812)「貴妃小町色を争ふいい御庭」
⑤ 「こまちいと(小町糸)」の略。
⑥ 「こまちげた(小町下駄)」の略。
※藪の鶯(1888)〈三宅花圃〉二「二足計(ばかり)しだらなくぬぎすてたるこま下駄も、小町といふ好み」
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