α‐デンプン(読み)あるふぁでんぷん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「α‐デンプン」の意味・わかりやすい解説

α‐デンプン
あるふぁでんぷん

天然のデンプン粒微結晶構造の部分があり、特有のX線回折図形(A、B、C形に分類される)を示す。デンプン粒に水を加えて加熱すると糊化(こか)し、粒が壊れるとともに微結晶構造も壊れる。オランダカッツJ. R. Katzは、糊化したデンプンをα‐デンプン、もとのデンプンをβ(ベータ)‐デンプンとよんだ。α‐デンプンを水分を含んだ状態(水分含有量30~60%が最適)で放置すると、部分的にもとの微結晶に近い状態に戻る。この過程老化というが、もとのデンプン粒のような粒に戻るのではなく、むしろ

というのが正しい。なお英語にはα‐starchやβ‐starchという単語はなく、しいていえばpregelatinized starch(α‐starchに相当)と、starch granules (β‐starch)と、retrograded starch (β´‐starch)である。

[不破英次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のα‐デンプンの言及

【α米】より

…米を炊いて飯にすると,デンプンは消化のよいおいしいαデンプンの形になる。αデンプンとは,デンプンに水を加えて加熱し糊化させたもので,X線でみるとその結晶構造が認められないという特徴がある。…

【食品】より

…生デンプンは水には溶けないので,消化酵素の作用は受けにくい。デンプンに水を加えて加熱すると,デンプンのアミロース,アミロペクチンを構成している糖鎖(ブドウ糖が鎖状に連なった構造)のミセル構造が壊れて,デンプンは膨潤し,α‐デンプンの状態になる。この現象を糊化(こか)という。…

※「α‐デンプン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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