改訂新版 世界大百科事典 「〓氏編鐘」の意味・わかりやすい解説
氏編鐘 (ひょうしへんしょう)
Biāo shì biān zhōng
中国,河南省洛陽の漢魏洛陽城址がある金村古墓から1920年に出土した鈕鐘(ちゆうしよう)の編鐘(現,京都泉屋博古館蔵)。今は12個だが,もとは14個で編成され,大きさが少しずつ異なり,高さが32cmから12cmの間にある。文様は蟠螭文(ばんちもん)の単位文を繰り返した地文が一面にあり,鼓の中央には饕餮文(とうてつもん)系の獣面があり,枚はとぐろをまいた蛇の形をし,鈕の両面には乙字状の渦様沈線文がある。銘文は鉦にあり,大型の4個は両面にわたり,8行61字で造鐘の由来を記している。あとの10個の小鐘は〈氏之鐘〉の4字がある。両方とも縦横に画した罫内に1字ずつ書いてある。銘文に実年代を推定させる〈二十二〉年という年紀がみえ,これを何王の時にあてるかについて数説あるが,文様,形式,銘文の内容からみて,戦国時代の韓のものと考えられ,郭沫若は安王22年(前380),温廷敬は威烈王22年(前404)にあてている。
執筆者:杉本 憲司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報