一面(読み)イチメン

デジタル大辞泉 「一面」の意味・読み・例文・類語

いち‐めん【一面】

物体の一つの面。
物事のある一つの側面。ある観点。副詞的にも用いる。「一面真理」「勤勉である一面、多趣味の持ち主」「こわそうにみえて、一面とてもやさしい」
辺り一帯。ある場所全体。「一面花畑」「火花があたり一面に飛び散る」
初めて会うこと。一度の面会
「我に対して―の識なく一語の交りなき」〈一葉・別れ霜〉
新聞の第1ページ。フロント。「夕刊一面を飾る記事」
鏡・すずり碁盤太鼓・琴など、面をもつものの一つ。→めん
[類語](1一方片側片面半面反面他面片方片一方片割れ他方側面片端一端一半一環片鱗一面的一方的サイド/(3一帯一円全域地域

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精選版 日本国語大辞典 「一面」の意味・読み・例文・類語

いち‐めん【一面】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 一つの物事の全部、総体。
    1. (イ) ある場所全体。そのあたり一帯。
      1. [初出の実例]「基盛三百余騎を一面(イチメン)にたてて、すこしすすみ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)上)
    2. (ロ) そこにいる全員。また、それがそろっていっせいであるさま。
      1. [初出の実例]「主従三人〈略〉太刀をぬいて一面にうてかかる」(出典:平家物語(13C前)一一)
  3. 一方の側。片方の面。
    1. (イ) 物や場所などの一つの側。
      1. [初出の実例]「上の牙を取て別に一面に置て阿闍世王に与ふ」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)
      2. [その他の文献]〔法華経‐序品〕
    2. (ロ) 物事のある側面や観点。半面。副詞的にも用いる。また、中国の近世語の影響から「一面…一面…」の形で、「…しながら…する」の意で用いられることもある。
      1. [初出の実例]「故事は一面かり用るまでぞ」(出典:四河入海(17C前)一四)
      2. 「お銀は始終顔を下げて、一面(メン)は聞き、一面(メン)分別」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上)
      3. 「あの議論は一面の真理を持ってゐるには相違ないが」(出典:灰燼(1911‐12)〈森鴎外〉一四)
      4. [その他の文献]〔史記‐留侯世家〕
  4. はじめて会うこと。また、一度だけ会うこと。
    1. [初出の実例]「一面金蘭席、三秋風月時」(出典:懐風藻(751)初秋於長屋王宅宴新羅客〈調古麻呂〉)
    2. 「我に対して一面(イチメン)の識なく一語の交りなき若(し)かも婦人が所用とは何事」(出典:別れ霜(1892)〈樋口一葉〉一〇)
    3. [その他の文献]〔世説新語‐賢媛〕
  5. 鏡、硯、琴、琵琶、また、碁、将棋の盤や駒一組など、主に平らなものや面を持ったものの一つ。
    1. [初出の実例]「御硯一面〈蒔鶴〉」(出典:吾妻鏡‐貞応三年(1224)四月二八日)
    2. 「木仏の大黒と布袋屋歌留多一めんじゃが」(出典:浄瑠璃・八百屋お七(1731頃か)上)
  6. 新聞の第一ページ。主に政治に関する重要な事件や問題を掲載する。
    1. [初出の実例]「東京新聞を拡げて、一面の小説を読む」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉二)

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普及版 字通 「一面」の読み・字形・画数・意味

【一面】いちめん

一方面。

字通「一」の項目を見る

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