アウリスのイフィゲネイア(その他表記)Iphigeneia hē en Aulidi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アウリスのイフィゲネイア
Iphigeneia hē en Aulidi

ギリシアエウリピデスの悲劇。未完遺作を息子が完成して前 405年上演。トロイ遠征軍のアウリス港からの無事な出帆を祈って総大将アガメムノンが娘イフィゲネイアを,女神アルテミスの犠牲に捧げたという伝説の劇化で,親の情と軍隊の要求の板ばさみになって悩むアガメムノン,アキレウスと結婚させるという口実を使ってアガメムノンの躊躇 (ちゅうちょ) を押切り,イフィゲネイアを呼び寄せた残酷な行為を後悔する叔父メネラオス,おとりに使われたと知って敢然と乙女の防御に立つアキレウス,悲しみを押えてギリシアのために犠牲台に登るイフィゲネイアなど,性格描写にすぐれ,筋の構成も巧みである。彼女を憐んだ女神アルテミスは彼女の身代りに鹿を置き,助ける。

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世界大百科事典(旧版)内のアウリスのイフィゲネイアの言及

【アガメムノン】より

…その10年後,トロイアを陥落せしめ,所期の目的を遂げた彼は,みずからの婢妾としてトロイア王女カッサンドラを伴い,故国に凱旋したが,妃とその情人アイギストスに殺された。彼を主要な登場人物とする文学作品では,トロイア戦争中の彼とギリシア軍最大の英雄アキレウスとの争いを語るホメロスの叙事詩《イーリアス》,エウリピデスの《アウリスのイフィゲネイア》,アガメムノンの殺害とその子女オレステス,エレクトラによる仇討を描いたアイスキュロスの〈オレステイア三部作〉等の悲劇が名高い。【水谷 智洋】。…

※「アウリスのイフィゲネイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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