山川 世界史小辞典 改訂新版 「アテネ市」の解説
アテネ市(アテネし)
Athina[ギリシア],Athens[英]
ギリシア共和国の首都。古代の代表的な都市国家として繁栄したものの,ローマ帝国,ビザンツ帝国,オスマン帝国支配期にはその政治的・文化的重要性は失われた。18世紀後半以降にはヨーロッパからのグランド・ツアーの目的地として再び注目された。1834年古代ギリシア崇拝の風潮を背景にして,ギリシア王国最初の首都ナフプリオンからアテネに遷都された。以来,政治,経済活動の中心としてのみならず,ギリシア領内外のギリシア人,あるいはギリシア系のアイデンティティのよりどころとしての役割を果たしてきた。初代国王オトンの支配期に西欧風の都市計画が進み,新古典主義的な公共建築物が建てられた。今日でもプラカ地区にその面影がしのばれる。1840年代には古代遺跡保護の活動も始められた。96年には第1回近代オリンピックが開催された。第二次世界大戦ではナチス・ドイツに占領されたが,戦後,アテネ市郊外も含めた大アテネへの人口集中が加速した。1990年代には東欧の政治変動に伴って外国人人口が急増した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報