内科学 第10版 の解説
アディポサイトカインの産生調節機構(脂肪由来ホルモンと疾患)
上述のように,肥満に伴って,アディポサイトカインの産生調節に破綻が生じ,肥満を中心として発症するメタボリック症候群や心血管病の病態生理に重要な役割を果たすと想定される.この分子機構として,脂肪組織の低酸素状態や酸化ストレス,小胞体ストレスの関与が報告され,精力的に研究が行われている.また,肥満の脂肪組織では,マクロファージを代表とする免疫担当細胞の浸潤や血管新生,細胞外マトリックスの過剰産生などダイナミックな組織学的変化が認められ(脂肪組織リモデリング),アディポサイトカインの産生調節における脂肪細胞と間質細胞の相互作用の意義が注目されている(Suganamiら,2010).[小川佳宏・菅波孝祥]
■文献
Friedman JM, Halaas JL: Leptin and the regulation of body weight in mammals. Nature, 395: 763-770, 1998.
Matsuzawa Y, Funahashi T, et al: Molecular mechanism of metabolic syndrome X: contribution of adipocytokines, adipocyte-derived bioactive substances. Ann NY Acad Sci, 892: 146-154, 1999.
Suganami T, Ogawa Y: Adipose tissue macrophages: their role in adipose tissue remodeling. J Leukoc Biol, 88: 33-39, 2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報