日本大百科全書(ニッポニカ) 「アドベンティスト派」の意味・わかりやすい解説
アドベンティスト派
あどべんてぃすとは
Adventists
プロテスタントのなかで、イエス・キリストの再臨が急迫していると信じる諸教派。再臨派と訳される。キリスト再臨の教義は、社会の発展は改良によってではなく、神の直接の干渉、すなわち、宇宙の大激変によって実現されると教える。教義自体は古い歴史をもつが、特定の教派としてのアドベンティスト派は、ウィリアム・ミラー(1782―1849)がニューヨークでキリスト再臨の急迫を宣言した1831年から始まる。ミラーは、『旧約聖書』の「ダニエル書」から、キリスト再臨の日を1844年10月22日と設定したが、当日、何事も起こらなかった。以後、この預言失敗の理由を日程設定の計算の誤りとするセカンド・アドベント・クリスチャンズ(キリスト再臨教会)と、預言は地上ではなく天国での変化をさしており、1844年には神の計画に決定的変化が起こったとみなすセブンスデー・アドベンティスト派伝道教会(1863年に正式の教派となる)を中心にいくつかの教派に分裂した。後者は、厳しい規律に基づき、世界各国での伝道活動、出版活動や学校および病院経営に活躍しており、信者は約350万人(1979推定)といわれている。
[野村文子]