「予言」が、ただ未来のことをまえもって語るだけであるのに対して、宗教的な「預言」では、きたるべき世界の内容とその意味、それを前にして人々のとるべき態度、行動を指し示すことをいう。預言を語るのは職業的な祭司、神官、僧侶(そうりょ)ではなく、神によって特別の超人間的な力(カリスマcharisma)を授けられた個人であるところにも、大きな特徴がある。
預言が、文字どおり神のことばを預かり、神にかわって語られるものとなるためには、それにふさわしい強烈な神体験、召命体験が要求される。また、シャーマニズムにみられるような、非日常的な心理の高揚状態であるエクスタシーや、意識の低下状態(トランス)も、ときには伴う。
マックス・ウェーバーは、預言を倫理預言ethische Prophetieと模範預言exemplarische Prophetieとの二つの型に分けている。「倫理預言」は、古代イスラエルの預言者に代表されるように、超越的な神の命を受けて、それを人々に伝える道具として自己を自覚した場合であり、他方「模範預言」は、釈迦(しゃか)で代表されるように、自己を救済の模範として示すものである。
いずれにせよ、預言は、単なる「予言」や予兆などとは異なり、倫理性をともなったある特定の新しい宗教的世界を提示することによって、既成の世界に対し、緊張的な作用をすることが多い。
[鈴木範久]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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