日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナナス類」の意味・わかりやすい解説
アナナス類
あななするい
[学] Ananas
狭義には食用のパイナップルを含むアナナス属をさし、中国名を鳳梨(ほうり)と書き、夏の季語にもなっている。一般にアナナス類といえば、45属2000種を含むパイナップル科(APG分類:パイナップル科)の植物を総称することが多い。ピトカイルニアPitcairnia feliciana Harms et Mildbr.の1種が西アフリカのギニアに分布する以外はすべて熱帯アメリカに分布している。アナナス、ディッキア、ピトカイルニア、プヤなど地生種もあるが、多くの種類は樹上に着生して育つ。シマケンザンDyckia brevifolia Bakerのように乾燥地に自生し、サボテンと同様に育てられる種類もあるが、多くは高温多湿条件を好み、葉の基部が重なって筒状になり水を蓄えている。日照不足に耐え、じょうぶで花も葉も美しく、観葉植物として栽培される種類も多い。花は短命だが、包葉や萼(がく)は長期間色があせないで美しい。エクメア、グズマニア、クリプタンサス、ネオレゲリア、フリーセア、チランドシアの各属に観賞価値の高い種類が多い。
[高林成年 2019年6月18日]