フリーセア(読み)ふりーせあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリーセア」の意味・わかりやすい解説

フリーセア
ふりーせあ
[学] Vriesea

パイナップル科(APG分類:パイナップル科)フリーセア(かつてはフリーシアと書いた)属の総称多年草で、熱帯アメリカに150~250種分布する。多くは着生種で、葉は鋸歯(きょし)がない。花は穂状花序をなし、葉の筒状部から長く抽出する。よく栽培されるカリナータ種(インコアナナスV. carinata Wawraはブラジル原産の小形種。花穂は扁平(へんぺい)で中央は赤色、周辺は黄色である。3~4か月、観賞に堪える。またスプレンデンス種(トラフアナナスV. splendens Lem.は葉裏は青緑色で黒紫色の横縞(よこじま)が入り、虎斑(とらふ)状になる。花穂は長く、朱赤色の包葉が美しい。オオインコアナナスV. hybrids hort.とよばれるものに旭光(きょくこう)cv. Kyokkô、レッドキングcv. Red kingなどの品種がある。大きな花穂と鮮明な色彩で人気があり、鉢物栽培が多い。繁殖は子株を挿木し、冬は8℃以上に保つ。

[高林成年 2019年6月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリーセア」の意味・わかりやすい解説

フリーセア
Vriesea

パイナップル科フリーセア属の総称。中央アメリカ,南アメリカ,西インド諸島に約 250種が分布する。花序全体が鮮かに色づいて観賞価値の高いものが多く,鉢植えが流通する。着生または地生する多年草。細長い葉がロゼットを形成し,基部は筒状をなす。インコアナナス V.carinataは長さ 20cm,幅 1.6~2cmの鮮緑色の葉をもつ比較的小型の種で,扁平な花序は長さ5~6cm。包が左右交互に規則的に並び,下部が赤色,上部が黄色または黄緑色に色づく。花は黄色い筒状花で,包の間から飛出すように咲く。オオインコアナナス V.×poelmanniiは葉の長さ 30~35cm,幅3~4cmになり,株径 35~50cm。鮮紅色の花序は長さ 10~15cmで,しばしば分岐する。トラフアナナス V.splendens灰緑色の地に黒紫色の虎斑 (とらふ) 模様が入る葉色に特徴がある。高温多湿に適するが,夏の直射は葉焼けの原因になるので遮光する。冬期は 10℃以上に保つ。花後に株は枯れるので,株元から出る子株を切り離して新たに育てる。

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