改訂新版 世界大百科事典 「アフラシアブ」の意味・わかりやすい解説
アフラシアブ
Afrasiab
ウズベキスタン共和国,サマルカンド北部にある13世紀までの都市遺跡で,旧サマルカンドに相当する。現状はほぼ三角形の平面を呈し,面積219ha。四つの城壁により,北からアルク,シャフリスタン,ラバトに分かれる。1874年に発掘が始まったが,1958年以降はシーシキンV.A.Shishkinが組織的に調査。北部に最古の部分が認められ,この遺跡はおそくとも前6世紀にさかのぼる。しかし,発掘された主要な時代の遺構は6~8世紀に集中し,宮殿,庶民の住居,工房が認められる。とくに65年以降の王宮発掘により,5~7世紀に及ぶ大壁画が出土。11m四方の大室の四壁にサマルカンドに入貢した東方ないしソグド地方の使節を描く。この壁画はソグド美術としてペンジケントの壁画と対比されるが,広くアフガニスタン,インド,イラン,東トルキスタンとも関連し,また使節の着衣をはじめ風俗一般は,実際に各地で出土する考古遺物に絶対年代の手がかりを与える。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報