中央アジア,サマルカンド東方約70km,タジキスタンのゼラフシャン川岸の同名の町にそってある,6~8世紀のソグディアナの都城跡。ピャンジケントPianjikentともいう。A.ヤクボフスキーが1946年から本格調査し,A.ベレニツキーが53年からこの都城の終末期の全体像解明のため計画発掘を継続した。8世紀前半のソグド人の都市生活と文化を知るうえできわめて重要な遺跡。都城は,支配者ディフカーンたるディワシュティチ公の居城とシャフリスターンとよばれる市街区,それに郊外居住区と墓地とから成る。建築には,壁体に練土,天井部に泥煉瓦,壁面や舗床に一部で焼煉瓦を用い,ボールトやまれにドーム架構し,木材を架す平天井をつくる。住居は2階建てが一般にみられ,木柱と礎石を使う部分ではそれに彩画や浮彫を施した。上流の住宅では壁全体に壁画を描いた。神殿は広大な内庭の中央や内奥に基壇を造り,上に前後2室ないし両側廊から成る堂宇がイーワーン式正面を東に向けて立っている。上流居宅や神殿に描かれた壁画は50室から検出され,饗宴,儀礼,ルスタムの功業などの英雄伝説,《パンチャタントラ》や《イソップ物語》にみられる寓話,民間信仰など,多方面にわたる内容がみとめられる。多彩色で精緻な描法によって,当時の風俗や軍事,建築から衣装,日用品にいたるまで,出土した遺物とあいまって,7~8世紀ソグドの文化を伝える重要な資料となっている。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「ピャンジケント」のページをご覧ください。
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