日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブオコゼ」の意味・わかりやすい解説
アブオコゼ
あぶおこぜ / 虻虎魚
spotted velvetfish
[学] Erisphex pottii
硬骨魚綱スズキ目イボオコゼ科に属する海水魚。北海道南部以南の太平洋・日本海の各地、東シナ海、朝鮮半島の南・東岸に分布する。体は長卵形で、側扁(そくへん)し、絨毛(じゅうもう)状の棘(とげ)で密に覆われ、体表面はベルベット状である。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の縁辺に4本の明瞭な棘がある。背びれは目の後縁上方から始まり、第3棘(きょく)の後ろで深くくぼむ。第1棘と第2棘は接近し、長い。腹びれは1棘2軟条。臀(しり)びれは1棘10~13軟条。全身は淡灰褐色で、多数の不定形の暗色斑(はん)が散在する。幼魚は尾びれ以外ほとんど一様に黒褐色。体長は15センチメートルほどになる。沿岸の砂泥底にすみ、底引網で捕れることがあるが、食用にしない。
[尼岡邦夫]