翻訳|villus
腸絨毛または柔突起ともいう。脊椎動物の小腸の粘膜が腸の内腔に向かって多数指状の高まりになって突出した細胞集団。ヒトではその高さは0.2~1.2mmであって,十二指腸において最も密生しており,回腸の終りに向かってその密度が減る。肉眼では観察しがたいが,虫眼鏡でよく見ることができる。絨毛の数は1人の人間で400万に達するといわれる。絨毛は小腸の吸収面を広くするためのものである。その存在によって小腸の吸収面はこれがまったくないと仮定した場合の数倍の広さになっている。絨毛表面の上皮細胞は,多数の原形質の小突起,すなわち微絨毛microvillusをもち,さらに表面積を大きくしていることが多い。そして絨毛の内部にはリンパ管(ここでは中心乳糜(にゆうび)腔とよばれる)や毛細血管網がよく発達していて,栄養物は腸の上皮を経てこれらの脈管の中に到達するものである。また絨毛の内部に平滑筋もあって,それと血流の影響によって絨毛は伸縮することができ,吸収作用がたえず円滑に行われている。大腸の粘膜には絨毛がない。これが小腸と大腸の著しい差異の一つである。胎盤,関節の内部にも絨毛があるが,重要度は小さい。
→小腸
執筆者:小川 鼎三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…大腸の吸収能は小腸に比べると全般に低く,糖,アミノ酸,脂質はほとんど吸収されず,わずかの水・電解質がここで吸収され,残りのものから糞便塊が形成される。 小腸粘膜は,ひだ構造や絨毛(じゆうもう)villusとよばれる突起が存在するため,吸収表面積が非常に大きい。さらに,小腸管腔に面して1層に配列している上皮細胞(吸収細胞ともいう)の管腔に面した側には微絨毛microvillusとよばれる無数の微細突起構造があり,上皮細胞の表面の膜の総面積は吸収面が平たんな管として計算した面積の約600倍も大きくなっている。…
…大腸の吸収能は小腸に比べると全般に低く,糖,アミノ酸,脂質はほとんど吸収されず,わずかの水・電解質がここで吸収され,残りのものから糞便塊が形成される。 小腸粘膜は,ひだ構造や絨毛(じゆうもう)villusとよばれる突起が存在するため,吸収表面積が非常に大きい。さらに,小腸管腔に面して1層に配列している上皮細胞(吸収細胞ともいう)の管腔に面した側には微絨毛microvillusとよばれる無数の微細突起構造があり,上皮細胞の表面の膜の総面積は吸収面が平たんな管として計算した面積の約600倍も大きくなっている。…
…粘膜は,表層を1層の円柱上皮がおおい,その下に上皮を裏打ちする粘膜固有層,さらにその下に平滑筋からなる粘膜筋板がある。粘膜表面には絨毛(じゆうもう)という長さ約1mmの指状,舌状,葉状などの突起が密生し,このため粘膜表面はビロード状を呈する。絨毛は上皮,粘膜固有層からなり,絨毛の芯となる粘膜固有層の部分には毛細血管やリンパ管が入りこみ,吸収物質の運搬に働いている。…
…十二指腸腺をもつ真の十二指腸は哺乳類に限られ,空腸と回腸の境界が明りょうではない種類も多い。また小腸粘膜のひだや絨毛(じゆうもう)(鳥類と哺乳類)も表面積を広げ,吸収能力を高めている。小腸の内容物は大腸方向にのみ運ばれている。…
…母体面は突出した脱落膜で形成される胎盤中隔によって,15~20個の胎盤葉に分かれている。胎盤葉の内部には,絨毛(じゆうもう)が母体血の充満した絨毛間腔に一部は浮遊,一部は胎盤中隔に固定した状態で存在している。この固定した絨毛は胎盤が子宮壁から剝離するのを防止する役割をもっている。…
※「絨毛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新