化学辞典 第2版 「アルミン酸塩」の解説
アルミン酸塩
アルミンサンエン
aluminate
アルミニウムの水酸化物Al(OH)3は両性を示し,その酸に相当する形をアルミン酸,その塩をアルミン酸塩という.一般式xMⅠ2O・yAl2O3・zH2Oで表される.組成から,オルトアルミン酸塩MⅠ3AlO3,メタアルミン酸塩MⅠAlO2などが知られているが,これらの遊離酸や,AlO33-,AlO2-などのイオンの実在は認められていない.これらの塩の水溶液中のイオンは,[Al(OH)4]-,[Al(OH)4(H2O)]-,[Al2O(OH)6]2- などの錯イオンであると考えられる.固体塩の多くは複酸化物で,たとえば天然に産出するせん晶石(スピネル)Mg(AlO2)2では,O原子が立方最密充填配置で,その四面体サイト(4個のO原子に四面体的に囲まれるすきま)にMg原子が,八面体サイト(8個のO原子に八面体的に囲まれるすきま)にAl原子が入っている.アルミン酸のナトリウム塩として工業的に用いられているのはメタ塩NaAlO2で,NaOH濃水溶液にAl(OH)3を溶かし,脱水して粉末状にしたもので,水の軟化,浄化,媒染剤,洗剤,乳色ガラスの製造,紙のサイジングなどに用いられる.カルシウム塩(Ca(AlO2)2,Ca3(AlO3)2など)は,ポルトランドセメントの重要な成分である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報