ポルトランドセメント(読み)ぽるとらんどせめんと(英語表記)Portland cement

翻訳|Portland cement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポルトランドセメント」の意味・わかりやすい解説

ポルトランドセメント
Portland cement

セメントの一種。最も代表的な種類で,セメント生産量の 90%を占め,一般にセメントといえば,これをさす。 1824年イギリスの煉瓦工 J.アスプディン特許をとったが,その製品がイギリスのポートランド島産の石材に似ているので名づけたという。主成分としてシリカ,アルミナ,酸化鉄および石灰を含む原料 (普通,石灰石粘土またはシェール,軟ケイ石,黄鉄鉱シンダーを使う) を,適当な割合で混ぜ,その一部が溶融するまで焼成したクリンカー (焼塊) に,適当量の石膏を加え,粉砕して粉末としたもの。日本では次の3種がある。 (1) 普通ポルトランドセメント 以前はこの種類だけであった。一般のセメントモルタル,コンクリートとして広く利用されている。 (2) 早強ポルトランドセメント  24時間,3日,7日などの早期強度が特に大きい。寒中コンクリートや急速工事用。 (3) 中庸熱ポルトランドセメント 水和熱が低く,短期の強度はやや小さいが,収縮が少い。ダムや大橋脚など,マスコンクリート用。これらのほかに,耐硫酸塩ポルトランドセメント,白色ポルトランドセメントなどがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポルトランドセメント」の意味・わかりやすい解説

ポルトランドセメント
ぽるとらんどせめんと
Portland cement

1824年イギリスのアスプディンによって発明された、石灰石と粘土を主原料としたセメント。セメント全生産量の約90%を占め、もっとも一般的に使用される普通ポルトランドセメントのほか、用途に応じた特長をもつ早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントおよび白色ポルトランドセメントなどがある。その硬化体がイギリスのポートランド島産の石に似ているのでこの名がある。

[西岡思郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android