アルーマニア人(読み)アルーマニアじん(その他表記)Aroumanian

改訂新版 世界大百科事典 「アルーマニア人」の意味・わかりやすい解説

アルーマニア人 (アルーマニアじん)
Aroumanian

アルーマニア語(ルーマニア語の方言)を話し,ギリシア北部,アルバニア南部,マケドニアに住むが,その数は数万とも40万ともいわれ,正確にはとらえがたい。自称はアロマンArǎmân,アルマンArmân。ルーマニア人と共通祖先を有したことは言語的にも立証されているが,6世紀以降バルカン半島がスラブ化あるいはギリシア化されるにしたがい,山地部に逃れておもに牧羊に従事し,氏族(ファルカリ)を中心とする共同体を20世紀初頭まで保持していた。彼らは10世紀以後ブラフVlah人の名でビザンティン文献にあらわれ,オスマン帝国も街道整備や運送の義務とひきかえに共同体の大幅な自治を認めていた。17世紀後半からはギリシア商人とともにオーストリアやドイツまで出向いて商業活動を行い,彼らの村々にも繁栄の一時期が訪れるが,19世紀後半からはバルカン・ナショナリズムの争いの道具・被害者となり,また国境設定などのため遠距離移動の放牧様式も妨げられ,現在は同化消滅の傾向が著しい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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