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同化 どうかassimilation

翻訳|assimilation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

同化
どうか
assimilation

社会学用語。個人や集団が,他の個人ないし集団の態度や感情を取得し,その経験や伝統を共有するにいたる社会過程。またはこうした社会過程から結果する社会関係の均衡状態。この概念は L.ウィーゼ,R.E.パーク,E.W.バージェスら心理学的社会学の傾向をもつ研究者によって使用されてきた。同化は応化や融合などと類似した概念であるが,同化は,「第1次集団」ないし「第1次的社会関係」を通じて,態度の変容や文化の共有がゆっくりと無意識的に行われる社会過程であり,むしろ文化の社会過程の次元に属すると考えられている。

同化
どうか
assimilation

心理学用語。(1) W.ブントの用語としては,心的要素の連合様式の一種をさし,ある心的要素が他の要素を自己と同一化する作用のこと。盲点補充の現象は直接的同化の例とされ,校正のときなどに起る誤植見落しは再生的同化の例とされている。(2) 視野におかれた異なる明るさまたは色彩の部分領域が,一つのまとまった形をなして見えるときに,それら部分領域の明るさ,色彩の間に生じる同一化の現象(→対比)。(3) E.ヘリングの色覚説の用語では,網膜に存在すると仮定される 3種の光化学物質が光を受容した際に起す化学的変化の一種をさす。たとえば,赤緑物質の同化により緑の感覚が生じ,黄青物質の同化により青の感覚が生じる。これに対し,前者の異化によって赤,後者の異化によって黄の感覚が起るとされた。(4) J.ピアジェの用語では,生体がそのシェマ(心的構造)に応じて環境を取入れる働きを意味する。

同化
どうか
assimilation

言語学上の用語。 (1) 通時的音韻変化の一種。ある音素Aが,それと直接 (ないし間接) に連なるほかの音素Bの影響により,Bのもつ特徴を共有する別の音または音素に変化すること。京都方言などの「チ」に起った[ti]/ti/ → [t∫i]/ci/ や,首里方言に起った/sita/ 「下」 → /sica/[∫it∫a]の変化は,それぞれ/i/による遡行同化,順行同化の例。 (2) 共時的同化。共通語の「シ」は音声的には[∫i]であるが,音韻論的には/s/が/i/に同化して口蓋化していると説明できるので/si/と解釈される。この場合は/s/に該当する単音そのものに通時的変化 (同化) が起ったとするのではない。

同化
どうか
assimilation

生物学用語。生物体が自己に必要な物質を体内で合成する働きをいう。一般に生体の構成物質は複雑なものなので,同化の反応は,簡単な素材物質から複雑性と化学エネルギー含量を増した産物を生じる。また炭素同化炭酸同化窒素同化などの語は,これらの元素ないし化合物 (炭酸ガス) の有機化合物化ということと,事実上等しい。

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デジタル大辞泉の解説

どう‐か〔‐クワ〕【同化】

[名](スル)
異なる性質・態度・思想などが、感化されて同じになること。また、感化して同じにさせること。「現地の風習に同化する」「他民族を同化する」
知識などを取り込んで、完全に自分のものにすること。「西欧の文化を同化する」
生物が外界から摂取した物質を、特定の化学変化を経て、自己の成分あるいは有用な物質に合成する反応。植物の光合成など。アナボリズム同化作用。⇔異化
音変化の一種。同じ語の中にある一つの音(おん)が他の音とまったく同音になるか、一部の性質を共通する音に変わるかする現象。前の音が後の音を同化する場合(順行同化。フロシキ→フルシキ)と、後の音が前の音を同化する場合(逆行同化。オシルコ→オシロコ)とがある。

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栄養・生化学辞典の解説

同化

 生体内で,簡単な物質(例えば低分子化合物)から複雑な物質(例えば高分子化合物)を合成すること.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

大辞林 第三版の解説

どうか【同化】

( 名 ) スル
本来異なる性質や考え方が同じものになること。 ↔ 異化 「その社会に-する」
外から得た知識などを理解して自分のものとすること。
生物体が外界から摂取した物質に特定の化学変化を加え、その生物に固有あるいは必要な物質を作り出すこと。同化作用。アナボリズム。 ↔ 異化
マグマが周囲の岩石や外来物質を取り込み、一つのものに混合すること。同化作用。
〘言〙 ある音素が隣接する音素に影響されてそれと同じ、または似た性質のものに変化すること。エビス(ebisu)の i が先行する e と等しくなってエベス(ebesu)となる類。 ↔ 異化 〔奥山虎章「医語類聚」(1872年)に英語 assimilation の訳語「同化、新陳代謝ノ」と載る。明治初期は医学・植物学で、後期から哲学・心理学でも用いられた〕

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

同化
どうか

生物体が外界から摂取した物質に化学変化を与えて、自己に役だつ物質に変えることをいう。植物では、炭酸同化、窒素同化などがこれにあたる。
 生体内における代謝によって、簡単な化学構造の化合物から複雑な構造の化合物がつくられる過程も同化とよび、その反応を生合成とよぶ。糖、タンパク質、脂質、核酸、ホルモン、その他莫大(ばくだい)な種類の物質が同化によりつくられる。生合成は、エネルギーの増加を必要とする吸エルゴン反応からなり、生成される物質は、一般に出発物質より高いエネルギーをもった物質となる。したがって、同化が進行するためには、エネルギーを供給する過程が同時に進行していく必要がある。独立栄養型生物では、このエネルギーとして、光のエネルギーや無機物の酸化エネルギーが用いられるが、ここで固定された化学エネルギーは、すべての生物体内で異化の過程で放出され、同化に用いられる。この異化と同化の両過程の間のエネルギーの授受に関係しているのが、アデノシン三リン酸(ATP)をはじめとする高エネルギー化合物である。このように、物質の同化経路と異化経路は互いに独立したものではなく、共通の中間物質を介してつながっている。両経路ともきわめて複雑で、異化は摂取した物質を直接炭酸ガスや水のような簡単な物質に変えるのではなく、出発物質にすこしずつ化学変化を加え、各段階ごとに異なる物質に変えながら分解していく。この中間産物は同化経路の中間物質と共通のものも多く、そのまま同化経路に入り、他の物質の生合成に用いられる。このように同化と異化の経路は密接に連絡し、ある物質が十分あれば、その物質の合成が抑えられ分解が促進されるという調節が行われる。[嶋田 拓・吉田精一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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