デジタル大辞泉 「同化」の意味・読み・例文・類語
どう‐か〔‐クワ〕【同化】
1 異なる性質・態度・思想などが、感化されて同じになること。また、感化して同じにさせること。「現地の風習に
2 知識などを取り込んで、完全に自分のものにすること。「西欧の文化を
3 生物が外界から摂取した物質を、特定の化学変化を経て、自己の成分あるいは有用な物質に合成する反応。植物の光合成など。アナボリズム。同化作用。⇔異化。
4 音変化の一種。同じ語の中にある一つの
[類語](2)会得・体得・覚える・学ぶ
明治初期には、主に、医学、植物学などの分野で用いられる術語であったが、明治後期から、「類化」に取って代わって、哲学、心理学の用語としても使用されるようになり、今日に至る。
生物体が外界から摂取した物質に化学変化を与えて、自己に役だつ物質に変えることをいう。植物では、炭酸同化、窒素同化などがこれにあたる。
生体内における代謝によって、簡単な化学構造の化合物から複雑な構造の化合物がつくられる過程も同化とよび、その反応を生合成とよぶ。糖、タンパク質、脂質、核酸、ホルモン、その他莫大(ばくだい)な種類の物質が同化によりつくられる。生合成は、エネルギーの増加を必要とする吸エルゴン反応からなり、生成される物質は、一般に出発物質より高いエネルギーをもった物質となる。したがって、同化が進行するためには、エネルギーを供給する過程が同時に進行していく必要がある。独立栄養型生物では、このエネルギーとして、光のエネルギーや無機物の酸化エネルギーが用いられるが、ここで固定された化学エネルギーは、すべての生物体内で異化の過程で放出され、同化に用いられる。この異化と同化の両過程の間のエネルギーの授受に関係しているのが、アデノシン三リン酸(ATP)をはじめとする高エネルギー化合物である。このように、物質の同化経路と異化経路は互いに独立したものではなく、共通の中間物質を介してつながっている。両経路ともきわめて複雑で、異化は摂取した物質を直接炭酸ガスや水のような簡単な物質に変えるのではなく、出発物質にすこしずつ化学変化を加え、各段階ごとに異なる物質に変えながら分解していく。この中間産物は同化経路の中間物質と共通のものも多く、そのまま同化経路に入り、他の物質の生合成に用いられる。このように同化と異化の経路は密接に連絡し、ある物質が十分あれば、その物質の合成が抑えられ分解が促進されるという調節が行われる。
[嶋田 拓・吉田精一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
生物が外部から物質を取り入れ,細胞内での代謝によって生体に特徴的な物質にする生体内反応.同化に必要なエネルギーは,植物においては光のエネルギーを利用する光合成,ある種の微生物では無機物質の酸化,そのほか,一般に生物は複雑な有機化合物を簡単な化合物に分解(異化)してエネルギーを獲得する.エネルギーはいずれも高エネルギーリン酸結合を有する物質,たとえば,アデノシン5′-三リン酸(ATP)を介して供給される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…このように,エネルギーの転換,獲得の効率は悪くても,これを補うための別のしくみを巧みに利用して,嫌気性生物は活発に生育増殖を行っているのである。
[代謝の種類]
エネルギー代謝と物質代謝はつねに密接に関連した形で進行するが,エネルギーの獲得につながる物質代謝を異化catabolism,またエネルギーを消費する代謝を同化anabolismと呼ぶ(図1)。異化代謝においては,食物や生体内の複雑な化合物,すなわち,核酸,タンパク質,多糖,脂質などを分解して,乳酸,酢酸,二酸化炭素,尿素,アンモニアなどの簡単な化合物に変え,それらの過程で遊離するエネルギーを,ATPなどの高エネルギーリン酸化合物の形で貯蔵したり,直接運動エネルギーとして利用したりする。…
…生物が外界から摂取した各種の物質を素材として,自己に必要な生体内物質を合成する活動を指す。単に同化ともいう。異化作用(catabolism,dissimilation)はその逆に生体物質を分解する活動をいう。…
…この政策の主体は,政治・経済・文化に支配的な勢力集団であり,その客体は,少数民族集団や被支配(民族)集団などである。一般に,同化とは支配集団と被支配集団との不均等な文化的相互作用,融合作用の過程を意味する。その点で,異質な文化集団との接触によって,その影響下に引き起こされる〈文化変容〉とは異なる。…
…その意味では,そもそもこの演じる者と見る者の関係自体が一つの遊戯なのであるが,この遊戯性としての虚構性は,少なくとも見ている者の側において相矛盾する二つの欲望に貫かれ,かつそれに脅かされている。それを〈同化〉と〈異化〉という概念で表すなら,まず観客の内部には,〈見ているものが限りなく現実に近く,現実そのものであれ〉という虚構と現実の同一視の欲望と,〈見ているものに完全に同化したい〉という欲望があり,前者はすでに触れた古代ローマの闘技士や公開の処刑,現代ならポルノ・ショーなどに見受けられ,後者は〈共同体の構成員が祝祭の狂喜乱舞のうちに一体感を味わう〉という演劇の始原的形態の幻想に通じる。と同時に,通常は,このような同化はあくまでも演劇という約束事の内部のことだと自覚されていて,それを異化して見る視点をどこかに保つものであり,それが意識的・知的な作業となればB.ブレヒトの説く〈異化〉作用であるが,多くの場合は,ちょうど夢の中にあって,自分が行為者であると同時に観客でもあり,かつしばしばそれが夢であることを知りつつ夢を見ているという,あの人格の二重化に似た同化と異化の使い分けをしているのである。…
※「同化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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