化学辞典 第2版 「アンヒドロ糖」の解説
アンヒドロ糖
アンヒドロトウ
anhydrosugar
無水糖グリコサンともいう.単糖分子中の2個のヒドロキシ基から水1分子がとれて,あらたに酸素環を生じたものの総称.そのヒドロキシ基の種類により,次の二つに大別される.
(1)ヘミアセタール性ヒドロキシ基が脱水に関与したもので,分子内グリコシドとみなせるもの.デンプンを減圧下で乾留すると得られる1,6-アンヒドロ-β-D-グルコピラノースはその代表例である.1,2-アンヒドロ-α-D-グルコピラノースはトリアセチル誘導体が知られている.グリコサンはグルコシド,オリゴ糖の合成に利用される.
(2)ヘミアセタール性ヒドロキシ基が脱水に関与しないエポキシ形は,種々の方法で合成できる.一般に,単糖のアンヒドロ糖は,水,エタノール,ピリジンに可溶で,結晶しにくいものが多い.求核試薬によってアンヒドロ環を開き,種々の糖誘導体をつくることができる.とくにエポキシ形のものは反応性に富み,アミノ糖,デオキシ糖,分枝糖,立体配置の特殊な糖などの合成中間体として重要である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報