改訂新版 世界大百科事典 「アンペラソウ」の意味・わかりやすい解説
アンペラソウ
Chinese mat rush
Lepironia articulata Domin
熱帯アジアを中心にマダガスカルやオーストラリア,ポリネシアなどに広く分布するカヤツリグサ科の多年草。沼沢地などに自生するが,中国の広東省などでは栽培もみられる。根茎から細い茎が数多く伸び立ち,高さ1~1.5mほどになる。茎には節が多く,断面は直径5mmほどの円形である。茎の上部に褐紫色の花穂がつく。株分けで増やした苗を水を張った水田や浅い沼などに移植して栽培する。植付け後1年くらいたってから収穫を始め,そのまま数年間続けて収穫ができる。肥料分が多いと茎が太くもろくなって質が低下する。刈取り後,茎を乾燥させ,平らに打ってから編む。これをアンペラといい,すだれやござ,帆として利用する。茶や砂糖などを包装するときの材料としたり,アンペラ帽と呼ばれる帽子を編む。日本に野生するネビキグサ,別名アンペライは本種とは全く別種の植物である。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報