植物の繁殖に用いる栄養繁殖の一手法で、宿根草の根際に生じた不定芽や地下茎から出た芽や茎(ひこばえ)を親株から分離し独立個体とする増殖法である。独立個体であるからいずれも根があるので、容易で確実な繁殖方法で、また親と同一のものが得られるという利点がある。短所としては、接木(つぎき)や挿木による栄養繁殖の方法に比べ多数の苗を得られないことがあげられる。
[堀 保男]
庭木類では、落葉樹類は半落葉した秋から春の新芽の吹く前(萌芽(ほうが)直前)の休眠期間が適期で、常緑樹類は3月ごろから梅雨期にかけて可能なものがある。宿根草類では、不定芽や地下茎から出た芽をもつものは3~5月にかけてか9~10月がよい。また湿地を好む宿根草には、花期が終わった直後の梅雨期ごろが適期のものが多い。
[堀 保男]
株立ちしているものを根を傷めないように注意して掘り上げ、根の付着状況を確認し、2本以上根をつけた状態で切り離す。宿根草類では、根元にある宿存芽をつぶさないように気をつけるとともに、小さく分けると開花しにくくなるものがあるので注意を要する。小植木類では2~3本ずつに分けたほうがよい。
株分けに用いる刃物は、宿根草、草花類では鋏(はさみ)、ナイフでよいが、木物類では剪定(せんてい)鋏を用いたほうが容易である。株分け作業は日陰地で行い、細根をもった植物は根部が乾燥しないように注意しながら手早く植え付ける。
株分けしたものは根部が少ないので、植え付け後は十分に水をやり、鉢物は2~3日、半日陰地で管理する。また常緑性で葉数の多いものは、水分の蒸発を防ぐため少し葉を摘み取る。施肥は新芽が伸び始めてから行う。
[堀 保男]
植物体の一部分を根とともに母植物から切り離して,新しい個体を得る方法をいう。株分けは最も簡単な栄養繁殖法であるが,増殖能率は悪い。主に宿根草,花木類,観葉植物で行われる。これらの植物はある程度大きくなって枝や葉が込み合うようになると,生育が悪くなったり花が小さくなったりするので,栽培管理の上からも数年に一度は株分けを行う。一般に,春から夏に開花するものは9~10月,晩夏から秋に開花するものは早春に株分けを行う。なお,球根植物の増殖は新たに形成された鱗茎(りんけい)や球茎を分ける分球法によって行われるが,切り離した植物体の一部(分球)に根をつけなくてもよいという点を除けば,分球法と株分けとに差はない。
執筆者:杉山 信男
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…歩兵,戦車,砲兵等を基幹とし,その他これらを支援する諸兵種を連合させ編成した基本的な作戦部隊。18世紀末,ナポレオンによって初めて作られた組織であり,通常は1万~2万5000人の兵力を保有する。この師団の出現によって,単一の兵種の編成部隊ではできなかった部隊の独立作戦が可能になり,戦術,部隊運用にも大きな進歩を促すこととなった。以来各国において,師団は軍または軍団の基幹部隊として,主要な作戦正面を担当する基本的な作戦部隊に位置づけられ,また固有の編制をもつ最大の部隊としている国が多い。…
…命名については国際動物(植物)命名規約によって方法が規定されている。 分類群の階級としては,種speciesを基本的な単位として,それより上級に属genus,科family,目order,綱class,門division(動物ではphylum)などが設けられ,それらの間にもいくつかの階級を設けてもよいことになっている。種以下の分類群としては,動物の命名規約では,亜種subspeciesだけが認められているが,植物の場合には,亜種のほかに変種variety,亜変種,品種などの階級も認められている。…
…また,育苗を兼ねて鉢作りする業と庭木,植木に育てあげる業は別である。繁殖はおおむね実生,挿木,接木,取木,株分けなどの方法で行われるが,最近はミスト法や発根剤が使用されている。【浅山 英一】
【園芸植物】
園芸的な栽培の対象となる植物を園芸植物というが,園芸で取り扱う範囲が多様なため,それを分類しようとしても特徴的なまとまりはあまりない。…
※「株分け」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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