日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イスハーク・アル・イスラーイーリー
いすはーくあるいすらーいーりー
Abū Ya‘qūb Isāq ibn Sulaimān al-Isrā'īlī
生没年不詳。10世紀前半に活躍したユダヤ系の医学者、哲学者。ラテン名はユダエウスIssac Judaeus。エジプト出身。チュニスのカイラワーンで活動し、ユダヤ人にギリシア科学を注目させた最初の人物となった。ファーティマ朝の建設者ウバイド・アッラーフ・アル・マフディ‘Ubayd Allāh al Mahdī(?―934)の侍医で、アラビア語で多くの医学書を書いた。主著は『尿の書』Kitāb al-bawlで、これは尿に関する中世最良の書とされた。そのほか『熱病の書』Kitāb al-hummayātもあり、元素に関する論文もある。
[平田 寛]