化学辞典 第2版 「イミペネム」の解説
イミペネム
イミペネム
imipenem
N-iminomethylthienamycin monohydrate.C12H17N3O4S・H2O(317.37).カルバペネム系抗生物質.白色の結晶.分解点204~205 ℃.+86.8°(0.1 mol L-1 リン酸,pH 7).UV(水)λmax 299 nm.Streptomyces cattleyaが産生するチエナマイシンは,ペニシリン母核の五員環構造中に硫黄原子を含まず,二重結合をもつカルバペネム系抗生物質であり,グラム陽性菌と緑膿菌を含むグラム陰性菌まで幅広く強い効果を示したが,いちじるしく不安定であった.この不安定性を解消し,かつ抗菌力を高めた誘導体として,末端アミノ基を修飾したイミペネムが化学的に合成された.イミペネムはβ-ラクタマーゼでも分解されない.しかし,ヒトの腎臓のデヒドロペプチダーゼⅠでβ-ラクタム環が加水分解されて不活化されるので,この酵素の阻害剤であるシラスタチン(cilastatin)との合剤が使用される.[CAS 74431-23-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報