日本大百科全書(ニッポニカ) 「イルティシ川」の意味・わかりやすい解説
イルティシ川
いるてぃしがわ
Иртыш/Irtïsh
カザフスタン共和国北東部とロシア連邦中部を北西流し、オビ川に注ぐ川。全長4248キロメートル、流域面積164万3000平方キロメートル。中国領モンゴル・アルタイ山脈西部の氷河に源を発して、チョールヌイ・イルティシ川(黒いイルティシの意)となり、西流してザイサン湖に注ぐ。ここからイルティシ川となり、カザフ山地東部を深い谷を刻んで北西流、オスケメン(旧ウスチ・カメノゴルスク)、セメイ(セミパラチンスク)に至る。これより下流はシベリア低地を曲流、パブロダール、オムスク、ターラ、トボリスクを過ぎ、ハンティ・マンシスク北方でオビ川に合流。トボリスクから下流では川幅20~35キロメートル、平均流量毎秒2260立方メートル。上流にブクタルミンスク、オスケメンの二大水力発電所があり、下流のマロクラスノヤルカ(ターラ川中流)から河口までの3600キロメートル間には定期船が航行している。パブロダール付近からカラガンダまで約500キロメートルのイルティシ・カラガンダ運河が建設された。
[須長博明]