ターラ(読み)たーら(英語表記)tāla

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターラ」の意味・わかりやすい解説

ターラ
たーら
tāla

インド音楽の拍節法に関する理論。旋法理論ラーガとともにインド芸術音楽の二大柱となっている。ターラとは「手を打つ」の意で、北インドではタールという。

 南インドでは、拍数を(1拍)、○(2拍)、|(3、4、5、7、9拍のいずれか)の3記号で表し、これらの記号を組み合わせて7種の主要ターラをつくる。|に5種の拍数が入るので、計35のターラに整理される。もっとも一般的なアーディ・ターラは|○○=4+2+2計8拍を1周期とする。どのターラも周期の第1拍目(サム)に最強拍、各区分の1拍目(前例では5、7拍目)に強拍が置かれる。速度は、曲中一定に保たれるが、1周期のリズムを半周期や4分の1周期に凝縮させるカーラという技法がある。

 北インドでは、より実践的で南ほど体系化されていない。よく用いられるティーン・タールは4+4+4+4計16拍を1周期とする。周期の第1拍目に最強拍、5、13拍目に強拍、9拍目にアクセントのない空拍が置かれる。強拍と空拍はタールによって規定されている。曲の速度は、ゆっくりからしだいに速くなり、最終的には最初の4~8倍ぐらいになる。

 南北インドとも独特の数え方でターラをたたき、曲はサムで始まり、サムで終わる。ムリダンガタブラなどの太鼓類がターラをもっともよく表現するといわれる。

[柴田典子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ターラ」の意味・わかりやすい解説

ターラ
tālā

インド音楽の用語。拍節法で,リズム周期を意味する。ターラは音楽のリズムの出発点であり,普通,太鼓によって演奏される。ターラの1周期内では即興で自由にリズムを変奏してもよいが,独奏,独唱者と,太鼓奏者は,ターラのひとめぐりの区切りごとに次の新しい部分の第1拍 (サーム) を一致させなければならない。ターラは強弱長短によって定められたおのおののグループに分類され,固定した拍数をもっている。南インドのカルナータカ音楽には,7つのおもなターラがあり,おのおのに5通りの形がある。代表的なターラは4+2+2の区分をもつ8拍で1周期となるアーディ・ターラである。北インドのヒンドゥスターニー音楽では,4+4+4+4の区分をもつ 16拍で1周期となるティンタールが代表的である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報