日本大百科全書(ニッポニカ) 「オムスク」の意味・わかりやすい解説
オムスク
おむすく
Омск/Omsk
ロシア連邦中部、オムスク州の州都。イルティシ川に支流オミ川が流入する地点にある河港都市で、シベリア鉄道の分岐点になっており、空港もあって、交通の要地である。人口115万7600(1999)の大都市。大規模な石油化学コンビナートがある。原料石油はオビ川中流域の油田から、1965年以来供給されている。化学(製油、カーボン・ブラック、合成ゴム、ゴムタイヤ、ゴム製品)、機械製造(モーター、トラクターや自動車の部品、自動連結器、農機、電機、化学・軽工業用機)、船舶修理、軽工業(皮革、履き物、家具、繊維、毛皮オーバー、羅紗(らしゃ)織、じゅうたん、縫製)、食料品(精肉、製粉)、建設資材(れんが、鉄筋コンクリート製品)などの工業がある。オムスク総合大学、単科大学および高等専門学校(医、農、工芸、獣医、自動車・道路、鉄道技師、教育、体育)、劇場、博物館、美術館などがあり、学術、文化の中心地でもある。
市の起源は1716年にイルティシ川右岸に建設された遊牧民に対する国境要塞(ようさい)で、その後この地方の政治、経済の中心地となった。帝政時代には流刑地の一つで、1850~54年に作家ドストエフスキーの流刑があった。1894~95年にチェリャビンスクからシベリア鉄道が同市を経てオビ川まで達し、1913年にはチュメニへも支線が通じた。18年6月には反革命軍に占拠され、翌年11月までコルチャーク政権の首都となった。
[三上正利]