ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワン5世」の意味・わかりやすい解説
イワン5世
イワンごせい
Ivan V Alekseevich
[没]1696.2.8. モスクワ
ロシアのツァーリ (在位 1682~96) 。ピョートル1世 (大帝)の異母兄。父はロマノフ朝2代目のアレクセイ,母はその先妻マリヤ・ミロスラフスカヤ。同母兄フョードル3世が 1682年没したのち,父の後妻の子 10歳のピョートルが即位したため,帝位継承の線からはずれたが,その2週間後,姉ソフィヤ・アレクセーブナの精力的な奔走によって並立のツァーリとなった。生れつき暗愚であったため政務に適さず,当初国政は明敏なソフィヤが両帝の名においてとりしきった。彼女の片腕の大臣ゴリツィン公のクリミア遠征 (87~89) が失敗に終ったのち,廷臣の期待が宮廷から遠ざけられていたピョートル1世に移っていくのをみて,あせったソフィヤは 89年ピョートル1世の暗殺をはかったが失敗,尼僧院に幽閉された。その結果,イワン5世もうしろだてを失った。ピョートル1世親政時代にも,一応帝位にはあったが,名目的な君主にすぎなかった。
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